#1 URBAN SPORTS STREET SHIBUYA
- URBAN SPORTS STREET SHIBUYA

- 5月1日
- 読了時間: 10分

渋谷のラジオ 2025年1月放送「URBAN SPORTS STREET SHIBUYA」
ゲスト:渡邊マーロックさん(公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 業務執行理事/パリオリンピック ブレイキンナショナルチーム監督)
パーソナリティー(聴き手):島田亜紀恵
※記事の内容は放送時のものです。
街の隙間からカルチャーは生まれる
「初めて自分の意思で渋谷に来たのは中学生の夏」という渡邊マーロックさん。
ーー渋谷の街の印象、街そのものに対する考え方は変わりましたか?
街の隙間がどんどんなくなっていってるなという印象はすごくあって。
ダンスとか練習しようと思うと、どうしても隙間産業なんですよ。誰かが使ってないとか、人気がちょっと無いけどそんなに危険じゃないところとか、そういうところが減ってるなと。イコール、ダンスを練習できるようなストリートの場所がほぼなくなってきているなっていう印象で。
そういう隙間でみんなが溜まって、コミュニティが生まれて、ああでもないこうでもない、話しながら朝まで練習するとか、それでカルチャーは生まれてきたと思うので、そういう隙間はこの街に関してはやっぱり大事にしていかなきゃいけないのになって思うことは多いですね。
ブレイキンがオリンピック競技になること
ブレイキンは2024年に開催されたパリオリンピックで初めて競技として採用されました。
ーーブレイキンがオリンピック競技になることに対して、どんなことを思っていましたか?
昔からオリンピック種目になったらいいじゃんとか、なれるかなとか、そういう話はあったけれども、「本当に実現したんだ」って思ったのは、たぶんシーンにいるみんなだったと思いますね。
やっぱりこう、カルチャーでずっとやってきていて、カルチャーというのは趣味ですよね。だから世界大会もたくさんあるし、目指すものもいろんなものがある。一方で、スポーツっていうのは、そのスポーツ競技における世界選手権がトップにあるっていうピラミッドだし、そのやはり一つ上か、ちょっと斜め上のところにオリンピックっていうものもある。
そういう世界に行くっていうことは、やはり混乱は少し起きたと思います。
だけれども、我々ずっと仲間で言ってきたのは、「ブレイキンの楽しみ方がもう一つ軸として増えたんだ」っていう、そういうふうに捉えて取り組んでいくことで、やっぱりコンフリクト(衝突)しないし、いろんな人たちがいろいろな生き方の多様性を持てるようになるから、カルチャーもそうだし、「スポーツの面でも楽しくブレイキンに取り組むことができるようになったんだよね」って理解しようと努力してきましたね。
オリンピックでブレイキンを取り扱います、バトルをやりますって言った時に、これはカルチャーへのリスペクトはあるんだなと僕は思いました。
主催しているIOC(国際オリンピック委員会)が、あえてショーケースとかじゃなくてブレイキンバトルをピックアップしたということは、ブレイキンの発祥はダンスバトルからだし、その根源にはギャング同士が暴力で争わないで、自分の好きなことで争おうというふうにして始まっていったっていうのがきっかけなので、そこにはたぶんIOCが考えているPEACE、平和とかそういう思いも込めてバトルというものを採用したんだなってポジティブに捉えて。
でもこれはチャンスだから、思い切りかましてやろう、とみんなで取り組みましたね。
ーーカルチャーへのリスペクトがあった上で開催された、だから胸を打たれた方も多かったのかなと思います。この収録の前に映像やインタビューを観返してちょっと泣きました。
観たことのない人たちがたぶんたくさんいたから、そういった人たちにはかなり衝撃的だったんじゃないかな。
チームで戦ったオリンピック
ーーオリンピック向けて環境を整えたり、代表選手を決めたり、というプロセスも大変だったのではないでしょうか?
そうですね。選手を選んでいくっていうのはとても大変でした。
大会もものすごい数が海外で行われるようになった。それに誰を派遣するか、どう派遣するか、ここを乗り越えていかないといけなかったので。これはチームで取り組んで成功できたかなと思っています。
あと、カルチャーの大会と比べて、スポーツの大会はめっちゃ踊らなきゃいけないんですよ、数を。
予選から決勝まで2日間あるし、その中で17ラウンドとか18ラウンドを踊らなきゃいけないから、昔に比べたらものすごい準備が必要になってくるのと、あとはやはり糖分がないと何をやろうとしていたのか忘れちゃうとか、そういうことが結構最初の方に頻発したので、できるだけ栄養っていうところから取り組んで、長く踊り続けられるようにチームでサポートする体制を整えていきました。
結局、最後に勝ってきてるチームというか選手たちって一人でステージには立つんですけど、後ろにはチームがいて、みんなで戦ってきている人たちが勝ってきてたなっていう印象はすごいあります。
アーバンスポーツはカルチャーと密接に関わる
ーー改めて、アーバンスポーツとはどんなスポーツのことを指すのでしょうか。
これは非常に難しくて、アーバンスポーツって言われ始めたのって、だいたい2020年(2021年開催)の東京オリンピックの前くらいからなんですよ。
アーバンスポーツに対して研究している研究者って世界中でもほとんどいなくて、このアーバンスポーツの定義っていうのがないんですよね。でも、基本的にはスケートボードとかブレイキン、BMX、ダブルダッチとか3x3、街に紐づいてできるスポーツ、これをアーバンスポーツって言うことが非常に多いと思います。
あと、僕は結構アーバンスポーツで見ていて思う、というか定義にしたいのが、カルチャーとスポーツが密接にリンクしているっていうこと。カルチャーは、音楽、アート、ファッション。と、スポーツがリンクしている。ブレイキンだとわかりやすいです、音楽がなきゃいけないし。例えばスケートボードのデッキもアーティストに作ってもらうとか、そういうカルチャーとスポーツがすごく密接にリンクしてるものをアーバンスポーツって言っていきたいなって思ってます。
あとは、スポーツというぐらいなので、客観性がないとやっぱりスポーツって言えない。
ストリートダンスって、審査員がコンペティションだったらいるけど、なかなか決まった基準がないのでどうしても主観的になっちゃう。けど、ブレイキンは客観性が審査員には求められる。どの審査員がやっても基本的には同じ結果になるよねっていう風にそのコンペティションを運営していけばスポーツにはなっているかなと思います。
ーーアーバンスポーツの競技者やファンの存在は知られてきたけれど、実際、みなさんどこを拠点に楽しんでいるのでしょうか。
これかなり本質的な質問だと思うんですよ。
今のアーバンスポーツの事情で言うと、やる人と支える人ってすごいたくさん増えてきてるんですけど、見る人がすごい少ない。
例えばサーフィンだったら海外でやってるサーフィンの大会ってすごい視聴率なんですね。でもやっぱり日本でサーフィン、ブレイキン、スケートボードのテレビをやったりとか、大会をやると、見る人を集めるのにすごく苦労します。だから、見る文化をこれからどんどんアーバンスポーツは醸成していかないと、「広がっているな」って思ってる一方で「広がらないな」という風になっちゃうなと思っています。
コミュニティって勝手に育たない
ーー私自身、ストリートダンスを趣味で続けているんですけれど、そのコミュニティ、私で言えばダンススタジオだったりとか、通っていたクラスっていうのが、街や人と繋がる場所と言うか、入り口とか心の拠り所とか、安心して自分を表現できる場所になっていたんですね。たぶん私はダンスも楽しんでいたんだけれど、そこでの繋がりを最も楽しんでいたんじゃないかなと思っています。
コミュニティって勝手に育たないと思うんですよ。絶対に場所が紐づいていると思うんですね。
我々がブレイキンとかそういったダンスを始めた頃って、都市の隙間の話をちょっと最初したけれど、そのストリートにみんな時間とか決めないけれども集まって、みんなで練習して、時にはそのメンバーで出て、みたいなコミュニティーがあった。
で、今の亜紀恵さんの話だと、ダンススタジオに紐づいていたりとかすると思うんですけど、それがやっぱり建物とかに紐づいてきちゃってる。街じゃなくて。あとは屋号、ブランドとか、そういうものに紐づいてきちゃってるのは少し残念だなって思っていて。
我々が普段活動しているこの渋谷は、この場所にコミュニティが紐づいてカルチャーをつくっていくっていうことをしていかないと、これから渋谷とアーバンスポーツとか、渋谷とカルチャーっていう面では育っていかないなと思っていて。
そういった意味で言うと、代々木公園のC地区(神南一丁目地区)っていうのが来年(2025年)オープンするんですけど、2025年の春以降、その地区がスポーツの拠点としてコミュニティができていく。で、そこから新しいカルチャーがつくられていくみたいなことに僕はすごい今期待しています。
ーーそうか、だから私が通っていたダンススタジオのコミュニティも、建物がなくなっちゃったらもう散り散りになっちゃうかもしれない。あとは一人の先生に紐づいてるとか、その先生がいるから繋がってる、みたいなところはもしかしたらあったりするかも。
場所に紐づいてるなってすごい思います。
あとライフスタイルに紐づいているというところがアーバンスポーツのいいところだと思う。
スポーツが提供できる社会的価値を見出していく
ーーこれから(2025年以降)のアーバンスポーツ、どうなっていくのか、あるいはどういうものにしていきたいのか、お話ししていただけませんか?
広がる。いろいろな広がり方があると思っているんですけれど、私個人としては、アーバンスポーツを通していろんな人がハッピーになっていく場をつくっていかなきゃいけないなっていうふうに思っていて。
今、教育現場では部活動地域移行しなきゃいけないとか、探究授業をしなきゃいけないとか、いろいろそういう変化が起きている中で、我々スポーツが提供できる社会的な価値って何だろうって、やっぱりここでもう一回考えて、じゃあブレイキンなら自分らしさを出すとか、ダブルダッチなら人との調和とか、そういった価値をきちんと体現して子どもたちとか世の中に伝えていくっていうことをして初めてどんどん広がっていくなっていうふうに思うので、スポーツを本気でやっている人たちを応援するというのもそうだけれども、やはり関わっている人たちはみんな社会的な価値を見出していかないと次につながらないなと思っていて。
社会的な価値を見出して、社会とスポーツの接点を子どもたちにちゃんと伝えていくとか、そういう活動をできればアーバンスポーツももっと広がっていくなと思っていますし、日本人でたくさん強い人たちがいるというのも、そういったことを後押ししてくれるんじゃないかなと思っています。
ーー私たちが楽しむこともそうだけれども、スポーツそのものの価値をはっきりとさせて伝えていくということですね。これは今トップで活動している選手たちもきっと考えていらっしゃるところがあるんじゃないかなって思います。
自然にできている人たちがトップにいってるなと思います。
トーク全編はポッドキャストでお聴きください
マーロックさんとブレイキンとの出会いや高校ダンス部の立ち上げ、ブレイキンの魅力、海外でのアーバンスポーツの楽しみ方、東京オリンピック以降感じるアーバンスポーツの盛り上がり、など。
関連ウェブサイト
公益社団法人日本ダンススポーツ連盟
公益社団法人日本ダンススポーツ連盟 ブレイクダンス部

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